AIを導入する前に、何から始めるかを整理した。
「効果が大きく、始めやすいもの」を先にやる。それだけだ。
整備工場のAI導入は、正直に言うと試行錯誤だった。
効果があったものと、見送ったものの話を書く。
まず議事録から始めた
最初に試したのは、朝礼と打ち合わせの記録だった。
以前は誰かがノートを取り、それが共有されないまま終わることが多かった。
ICレコーダーで録音し、AIに文字起こしをさせる。そこから要点を抽出する。
この流れを作ったことで、「言った・言わない」がなくなった。
費用は月数百円。効果は初日からあった。
ここから始めたのは、正解だったと思う。
整備作業中の録音が、記録になる
次に試したのは、整備中の実況録音だ。
車両を点検しながら気づいたことを声に出す。「右フロントのブレーキパッド残量3mm、要交換」「エアクリーナー汚れあり、確認済み」——それをそのまま録音して、記録簿に落とす。
整備士の手を止めずに記録が作れる。
タイピングが苦手なスタッフでも使えた。
これも、始めやすくて効果の大きい領域だった。
チャットボットは、見送った
お客さん向けのチャットボットは、導入を見送った。理由は3つある。
- お客さんの多くは電話を好む。チャットに誘導しても使われなかった。
- 「車の調子が悪い」という曖昧な相談には、定型文では対応できない。
- 設定と維持のコストが、得られる効率化と合わなかった。
「使えそう」と「使われる」は違う。
現場の実態を先に確認してから判断すべきだった、という反省もある。
「効果×難易度」で決める
AI導入を判断するとき、私は2つの軸で考えるようにしている。
縦軸が「効果の大きさ」、横軸が「導入の難しさ」だ。
右下——効果が大きく、導入が簡単なものから始める。
左上——効果が小さく、難しいものは後回しか、やらない。
議事録の自動化は右下だった。チャットボットは左上に近かった。
整備工場のDXは、「最新技術を使うこと」が目的ではない。
整備の時間を増やし、お客さんへの対応を厚くするための手段だ。
その軸を持っておくと、何を読み、何を読み飛ばすかが見えてくる。
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