整備工場の経営を、読む——スタッフ育成・顧客対応・地域密着について話すこと

経営について聞かれるとき、私は毎回少し迷う。

「うまくいっている」とも言えないし、「わかった」とも言えない。
ただ、続けてきてわかったことはある。それを書く。

スタッフ育成:先に「なぜ」を伝える

整備士の仕事は、手順を覚えることではないと思っている。

「なぜこの点検をするか」「なぜここを先に見るか」
理由がわかると、手が変わる。

私が新しいスタッフに最初に伝えることは、「何を見るか」より「なぜ見るか」だ。
ブレーキパッドの残量を測るのは、数字を記録するためではなく、
お客さんがいつまで安全に乗れるかを判断するためだ。
目的がわかると、測り方も変わる。

顧客対応:3段階で伝える

整備の結果をお客さんに伝えるとき、私は3段階に分ける。

「今回交換・修理したもの」「今後気をつけてほしいもの」「問題なかったもの」

「問題なかったもの」を伝えることが大事だと思っている。
整備士が確認した事実として、「ここは大丈夫でした」と言える。
それが、次の車検までの安心になる。

「全部問題ありません」は言わない。
「全部を点検して、今日時点での状態を確認しました」と言う。
車は乗り続けるものだから。

地域密着:顔の見える関係が、長く続く

私の工場に来るお客さんの多くは、紹介で来る。

「知り合いに頼んでいる」という感覚が、長い付き合いになる。
大手のチェーン店と同じサービスを提供する必要はない。
「あの整備士に見てもらいたい」という理由で来てもらえる方が、長続きする。

地域に根付くには、時間がかかる。
急いでやることではなく、一台一台を丁寧にやることで、結果的にそうなる。
そういうものだと、続けてきて思っている。

テクノロジーは手段、判断は人間

DXを進めている。Notionを使い、AIを使っている。

ただ、それは「整備を便利にするため」ではなく、「整備に集中するため」だ。

記録や転記や案内文作成をAIが担えるなら、そこを渡す。
そのかわりに、「この車の今の状態はどうか」「お客さんに何を伝えるか」
その判断は、人間がやる。

整備士という仕事は、車を読む仕事だと思っている。
テクノロジーは、読むための時間を作るためにある。

コメントを残す