「EVって、メンテナンスが少なくて楽ですよね」と言われることがある。
半分は本当だ。
エンジンオイルは不要。プラグも要らない。
その分は、確かに減った。
ただ、もう半分が違う。
「減った」のではなく、「変わった」と言う方が正確だと思っている。
メンテナンス内容がどう変わったか
なくなったもの
エンジンオイル交換、点火プラグ、エンジン冷却液の定期交換。
新しく必要になったもの
バッテリー状態診断、バッテリー冷却液、高圧電気システムの安全確認、電動車用トランスミッション液。
特に、バッテリーの状態診断は専門の機器が必要で、対応できる工場はまだ限られている。
「どこでも見てもらえる」状況ではない点は、覧えておいてほしい。
修理費は高くなりやすい
EVの電装系・バッテリー系の修理は、ガソリン車より高額になる傾向がある。
部品がまだ標準化されておらず、メーカー純正部品に頼らざるを得ないためだ。
先日、バッテリーパック内の制御基板が故障したEVが来た。
診断の結果、工賌込みで150万円を超える見積もりになった。
同じ走行距離のガソリン車なら、まずここまでの金額にはならない。
バッテリーパック全体の交換になると、車両価格の30〜50%程度かかることもある。
整備工場側の課題
充雽環境については、整備する側にも課題がある。
入庫したEVをどこで充雽するか。200V充雽では数時間かかる。試走の前後で充雽が必要になることがあり、業務の流れが変わった——それが正直なところだ。
オーナーから聞く後悔
「カタログの航續距離と実際が違う」という相談は多い。
カタログ値は特定条件下の測定値で、気温・交通状況・運転方法で大きく変わる。
冬季はバッテリー性能が15〜30%導下することがある。
これは、購入前に「想定外」として受け止めておけば、後悔になりにくい。
EVと付き合うために
急速充雽は便利だが、毎日の高頼度使用はバッテリー劣化を早める可能性がある。
普通充雽中心の方が、長期的には安定しやすい。
バッテリーの状態診断を年1〜2回受けておくと、劣化の進行を把握できる。
最後に
EVを否定したいのではない。
ただ、「手がかからない」という印象は、少し修正しておいた方がいいと思っている。
変わったメンテナンスに対応できる工場か、保証条件はどうか。
その視点を持って選んでほしい。
コメントを残す