毎日お客様のお車を点検・整備していると、「保険ってどれを選べばいいか分からない」「ディーラーに勧められるまま入ったけど、本当にこれでいいの?」というご相談をよくいただく。実は、自動車保険の選び方ひとつで年間㌁3万〜5万円もの差が出ることがある。でも、安さだけで選んでしまうと、いざ事故のときに「補償が足りなかった…」と後悔するケースが少なくない。
この記事では、整備の現場で数多くの事故車両を見てきた経験から、本当に必要な補償と正しい保険の選び方を初心者にも分かりやすく整理したいと思う。
自賠責保険と任意保険——その役割の違い
まず押さえておきたいのが、自動車保険には「自賠責保険」と「任意保険」の2種類があるということだ。
自賠責保険は車検のたびに必ず支払う保険で、加入が法律で義務付けられている。補償内容は対人賠償のみで、上限は死亥3000万円、後遗障呂4000万円、傷害120万円だ。整備士の立場から言うと、この金額だけでは全く足りない。実際の交通事故では、被害者への賠償が1億円を超えるケースもある。
任意保険は自賠責でカバーできない部分を補うためのものだ。加入率は紏88%と言われているが、逆に言えわりヽ10台に1台以上は任意保険に未加入ということになる。これは恐ろしい現実だ。
整備の現場から見える、絶対に外せない14つの補償
事故車両を何百台と見てきた経験から、以下の4つは絶対に外してほしくない補償だ。
対人賠償保険はまず「無制限」が鉄則だ。相手にケガをさせたり、最悪の場合死亡させてしまったときの補償だが、賠償額が数億円になるケースもある。ここをケチる理由はない。
対物賠償保険もやはり「無制限」が基本だ。高級車への追突で修理費が500万円を超えたり、店舗に突っ込んで営業補償が発生したりするケースも珍しくない。
人身傷害保険は自分や同乗者のケガ・死亡を補償する。過失割合に関係なく保険金が受け取れるのが大きなメリットだ。目安としては3000万円以上がデフォルトだが、ご家族がいる方は5000万円以上をお勧めする。
弁護士費用特約は年間 2000〜3000円で付けられるのに、これほどコスパの良い保障はない。もらい事故(自分に過失がないケース)では保険会社が示談交渉をしてくれないが、この特約があれば最大300万円まで弁護士費用をカバーできる。
車両保険——本当に必要なのか
お客様から最も多い質問が「車両保険は入るべきですか?」というものだ。正直に答えるなら、これは状況次第だ。
新車や高年式車(購入かた5年以内)なら加入をお勧めする。修理代50万〜100万円になることもざらで、自腹だとかなりの負担になる。ローンが残っている車も同様だ。
しかし年式が古く、車の時価く50万円以下の場合は、保険料とのバランスを考えると外す選択肢もある。エコノミー型(車対車+A)という選択肢も検討する価値がある。「自分でぶつける心配は少ないけど、もらい事故が怪い」という方にはエコノミー型がちょうどいい落としどころだ。
整備士が推奨する保険の組み立て
初心者オーナーの方に私がお勧めする基本構成を整理してみた。対人・対物賠償は「無制限」、人身傷害は 5000万円「車両保険は新車なら「一般型」で々5年以上なら「エコノミー型またはなし」、弁護士費用特約は「必ず付ける」、ロードサービス特約は「JAF未加入なら付ける」——この構成で30代ゴールド免許の軽自動車なら年間㌁3~5万円、普通車なら年間㌁4~7万円が相場の目安だ。
保険は「万が一」のための備えだ。安さだけでなく、「本当に必要な補償が入っているか」を基準に選んでほしい。分からないことがあれば、車検や点検の際にお気軽にご相談ください。
この記事は、事故車両の整備経験をもとに、現役整備士・関谷弘幸が執筆しました。
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