毎年この時期になると、お客さんから「そろそろタイヤ交換した方がいいですか?」という質問を受けます。スタッドレスタイヤから夏タイヤへの切り替え時期は、意外と多くの人が悩みどころなんですね。この判断を誤ると安全性が低下するだけでなく、タイヤの寿命を縮めることにもなります。
スタッドレスを履き続けるリスク
「まだ大丈夫」と思ってスタッドレスタイヤを履き続けるのは、実は非常に危険です。スタッドレスタイヤは雪や氷上での性能に特化した特殊なゴム配合になっています。気温が上がると、本来の性能を発揮できないどころか、むしろ夏タイヤより危険な状態になってしまいます。
JAFの実測テストによると、時速100kmからの急ブレーキで、夏タイヤが平均44.1mで止まれるのに対し、スタッドレスタイヤは平均51.1m——紏7m、紏16%も制動距離が長くなるというデータがあります。
さらに、スタッドレスのゴムは柔らかく、温かい季節での走行に向いていません。気温が上がると、タイヤの表面が異常に摩耗して、溝がどんどん減ってしまいます。せっかく冬に使ったタイヤも、夏まで履いてしまうと、次の冬には使えなくなっているというケースを何度も見ています。
交換の最適時期を読む
一般的に、スタッドレスから夏タイヤへの交換目安は「最低気温が安定して7℃以上になったら」というのが業界の常識です。なぜ7℃かというと、この気温を境にして路面に霜が付きにくくなり、夙間の気温低下でも冷ろのリスクが大きく低下するからです。
地域別の交換目安は、北海道の札幌や旭川なら5月上旬~中旬、東北の仙台や盛岡なら4月中旬~下旬、関東の東京や横浜なら4月上旬~中旬、関西や中国地方なら3月下旬~4月上旬、九州なら3月上旬~中旬を目安にしてください。
外したタイヤを正しく保管する
交換したスタッドレスタイヤは、来冬まで大切に保管する必要があります。保管場所の条件は、気温が低い(できればヽ15℃以下)、湿度が低い、直射日光が当たらない、風通しが良い——の4つです。
まずきれいに洗います。冬の間の泥や塩分をきれいに落とすことが重要です。ホイール付きで保管する場合、タイヤへの負担を減らすために空気圧を適正値の半分程度まで下げておきましょう。ホイール付きタイヤは横積み(横に寝かせて積む)が正解です。スタッドレスタイヤの一般的な寿命は「製造から3〜4年」が目安です。正しく保管すれば来冬も安全に使用できますが、製造から年数が経っているタイヤはゴムの硬化や劣化が進んでいる場合があります。使用前には必ず整備士やお店でチェックしてもらいましょう。
タイヤ交換は季節の重要な儀式
最低気温8℃が目安——地域によって異なりますが、気温が安定するまで待つことが重要です。自分で行う場合はフロアジャッキとジャッキスタンドを必ず使用。車付属のパンタグラフジャッキは季節交換には向きません。お店に依頼する場合の総額はヽ4本でヽ10000〜20000円程度を見込んでください。外したスタッドレスは低温・低湿度・暗い場所で、ホイール付きなら横積みで保管。空気圧は適正値の半分程度に下げること。
整備現場で年以以上、多くのお客さんの車を見てきました。「タイヤは車の問一の接地面」という言葉をお客さんに何度も伝えています。安全で忬適な春のドライブを楽しむためにも、この時期のタイヤ交換を優先順位の高いメンテナンスとして考えてくださいね。
この記事はスタッドレスから夏タイヤへの交換実務と保管管理についての経験をもとに、現役整備士・関谷弘幸が執筆しました。
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